地方都市でサラリーマンをしています。
高校時代の同級生である妻と結婚したのは8年前。
23歳の時に恥ずかしながら授かり婚をした私たち夫婦も、三十路を過ぎ、一人娘の成長を頬を緩めながら眺めながら、裕福ではないものの、それなりに充実した日々を過ごしていました。
あんなことが起こるまでは。
妻は元来明るく人懐っこい性格で、どちらかと言うと物静かな私とは対照的な性格でしたが、大学に進学できなかったことが少しコンプレックスだったのでしょうか、娘の進学には異常にこだわりました。
都会と違い、田舎ではスポーツにしろ勉強にしろ、一番整っているのは地域一番の私学です。
妻は、娘を小学生から私学に通わすことにこだわったのです。
しかし、私はしがないサラリーマンです。
そんな余裕がある訳がありません。
そこで妻が始めたのが、駅前のスナックでの夜のアルバイトだったのです。
妻は特別に美人ではありませんが、高校時代、陸上部で短距離ランナーとして
鍛えたその肉体は母となった現在も衰えず、均整がとれたスタイルを維持していました。
ミニスカートから見えるその脚線美は、三十路を迎えて少し肉が付き丸みと柔らかさを増した分、若い頃より魅力的であるとさえ思いました。
ですから妻は、その明るい性格もあり、田舎のスナックの人気者となりました。
無論、私は反対しました。
勝手にそんな仕事を始めた妻をなじりさえしました。
しかし、妻は娘の未来のためだからと断固辞めることを拒否しました。
正直に言うと、その時私は戸惑っていたものの、塾にも行っていない娘が、有名私立小学校の入学試験をパスできる訳がないと思っていました。
だから頑強な妻も、娘が試験に落ちたらあきらめるだろうと思い、取りあえず娘の受験に付き合うことにしたのです。
それがです、大方の予想に反し、娘は希望校に合格してしまいました。
そして、私たち夫婦は、身の丈に合わない学費を負担することになり、妻のスナック勤めは、実質既成事実化してしまったのです。
妻の仕事は火、木、金の週3日、時間はだいたいですが、夜8時から深夜1時って感じでした。
駅前にあるスナックは自宅マンションから10分ほどの場所ですから、出勤日の妻は、私が子どもを寝かしつけるのを横目に家を出て、1時30分ごろに帰宅しては、うたた寝する私を布団に行けと言って風呂に入る。
そんな感じの生活でした。
そんな生活に乱れが発生したのは、一昨年10月中頃の金曜日のことでした。
その日出勤日だった妻は、丈の短い赤いワンピースのスカートから、魅力的な脚線美を見せながら外出していきました。
翌日は週末で、私も子どもも休みだったため、夜更かししてアニメを見る子どもの横でハイボールを飲んでいました。
そして、これが本当に不覚なのですが、その週は大きな仕事がありハードワークだったため、いつしか私はリビングでうたた寝してしまい、娘が寝室に行ったのも知らないくらい眠り込んでしまいました。
結局、私が目を覚ましたのは、翌朝8時頃のことでした。
「ママが帰ってきてないよ。」
私は、パジャマ姿の娘に、そう言って揺り起こされたのです。
慌てて妻のスマホに電話をしましたが、コールはするものの応答はなし。
スナックのママにも電話すると、いかにも寝てましたと言った感じの応答で、妻は昨夜も1時には帰ったとのこと。
焦った私が妻を捜しに外へ出ようと身支度をしていると、何やら外から騒がしい声が聞こえてきました。
「警察ですか、すぐ来てください。」
様子をみようと私が外に出ると、声は私たちの部屋の斜め前にある、非常用の外階段から聞こえてきます。
胸騒ぎを覚えた私が慌てて非常階段をのぞくと、そこには驚くべき光景が広がっていました。
掃除か点検に入ったであろう管理人が腰を抜かす先の階段の踊り場に、妻が仰向けに横たわっていました。
妻の名を呼びながら慌てて駆け寄る私。
最初妻は死んでいるのではと思いましたが、抱き起こしてみると気を失っているようですが、その身体は温かく、息をしていました。
ただ、その姿は異様でした。
粘着テープのようなもので両手を後ろ手に縛られ、口にも粘着テープで猿轡をされていました。
また赤いワンピースは上半身は大きく引き裂かれ、両方の乳房がむき出しにされています。
かろうじて下半身はスカートで隠されているものの、履いていたパンストは乱暴に引き裂かれており、妻のお気に入りの青いレース付のパンティが、足首に丸くなって絡まっていました。
私は妻の様子に多くのことを悟りつつ、思わずそのスカートをまくり上げ確かめずにいられませんでした。
妻の陰毛が、私以外の男の白濁した汚れで、カピカピになっているのを。
やがて警察が到着し、妻は病院に、私は警察で事情聴取にと、ばたばたとした時間が流れました。
幸い妻は命に別状はなく、やがて意識も戻りました。
妻を襲った犯人もすぐ捕まりました。
男は店の常連で、妻にしきりに言いよっていた28歳の若い男でした。
帰宅して扉の鍵を開けようとしている妻を襲った男は、ナイフを突きつけて人気の無い外階段に妻を無理やり連れ込むと、縛りあげた妻をレイプしたそうです。
男の姿はマンションの防犯カメラにしっかり写っていました。
午前1時15分ごろ、帰宅した妻を追うようにマンションに入ってきた男は、外が白み始めた午前5時頃マンションから出て行ったそうです。
私が気楽に酒を飲んで寝ている間に、妻はその自慢の肉体を4時間近く男に凌辱されていたのです。
裁判では犯人が妻に3度にわたって強いて姦淫したと明かされました。
私は事件の後も、妻を支えて生きていきたいと思いましたが、双方の実家は事件により深刻な対立状態となってしまいました。
妻の実家は嫁に夜の仕事をさせた甲斐性無しの私を責め立て、私の実家は夜の仕事を始める淫売娘と妻を責めました。
やがて耐えきれなくなった妻は娘を連れて実家に帰り、迎えに行った私は向こうの親父さんにバケツで水を浴びせられました。
私は今も妻に対する未練を断ち切れません。
そして妻を襲った男が憎いです。
このまま妻を失ったならば、私は男を許さないでしょう。