お転婆で男勝りな幼馴染み

画像はイメージです
幼稚園の頃から近所に住んでるアキラは俺と同じ空手道場に通ってて小さい時からお転婆で背が高い奴だった。
小学校高学年から中学生3年まで身長はアキラの方が上だった。
高校生に上がってやっと追いついて高3の177cmでやっと1cm追い抜いたくらいだった。

幼稚園から小学校高学年まで遊ぶ時は常に短パンで男子に混ざってショートカットの短い髪で遠目から見ると少年にしか見えないスカートなんかはいてる所一度も見たことが無い男子と違う所は女子トイレに行くというくらいしか違いがなかったと言ってもいいしかも低学年くらいまでは男子と連れションしてた。
喧嘩してもクラスで一番強くてガキ大将を何人も泣かしてた。


サッカーとか鬼ごっこ男子に混ざってやっても常に一番だから女子にも男子にも一目置かれていて空手も全国大会優勝した父親をもってるせいかとにかく強くて何度も練習とか組み手とか相手したけど一度も勝った事が無かった。

だから小学校高学年まではアキラを異性として全く意識しなかった。
男みたいな奴だと思っていたし、なにせ喧嘩も空手もアキラには勝った事が無いから嫌いじゃないけれど、正直ちょっと怖い苦手な奴だった。
何をしても敵わないから劣等感を抱いていたのかもしれない小学生の心理なんてそんなもんだよね?
そんなわけで中学生に上がるまでは凄く女の子らしい線の細い子に憧れてた。

アキラは単なる幼馴染で気楽な遊び友達道場の時は絶対に敵わない格上女子だと思った事は無いし意識するような相手じゃないアキラが小学校高学年まで憧れの人だったのはドラゴンボールの孫悟空彼女は小学3年生まで本気でカメハメハ撃つのが将来の目標だった。



俺は空手は親父が厳しくて半分はイヤイヤ続けてた所がある正直何時までたってもアキラに勝てなくてふて腐れてたこともあった。
まあ、そんなだから勝てないってのも有ったと思うアキラは空手楽しんでたし尊敬する孫悟空や父親と同じようになりたかったんだと思う小学生の空手大会男子に混ざって優勝したりしてた。

それで、小学校を卒業する事になる数週間前の事だった。

「ヨウちゃん!キャッチボールしよう!」

いつもの様に人の家に庭先から入って縁側から顔を出すアキラ走ってきたのか息を切らせている。

「良いけど宿題は?」

「ヨウちゃん鈍いなぁ、私もう終わったよ」

ハキハキとした喋り方、ショートの黒髪、爽やかに白い歯を見せて笑うアキラ。

「俺まだだから一寸待ってよ」

「いいけど早くしなよ」

アキラは今にも体を動かしたくてウズウズしているのか庭先でグローブの中のボールを空に向かって投げては一人でキャッチしたりしているとにかくジッとしている事が嫌いなアキラ。

「なーまだ?」

庭先で一人ボール遊びしながら声を掛けてくる。

「ん~あとちょっと」

宿題が終わったので2人で公園へ行きキャッチボール結構強く投げるアキラのボールを受ける。

「いたっ!もう少しかげんして投げろよな!」

「ごめん、ごめん」

アキラは少年のように笑う。

「もう直ぐ中学生だね私達」

「うん」

いつもの様にボールをやり取りしながら会話する。

「制服もう準備した?」

「うん」

「着てみた?」

「うん」

「どうだった?」

「うーんなんか似合ってなくて変だった」

初めて身につけた詰襟はぶかぶかでなんだか、着せられてる感じだった。

「男子はいいよねズボンだからさ」

「なんで?」

「私絶対男子に笑われるよ」

アキラはスカートが嫌いだから中学生になってセーラー服を着るの事を嫌がっていた。

「岡本とか絶対馬鹿にしてくる」

内緒だけど当時岡本はアキラの事が好きでよくアキラの事を女男とかいってからかっていた。

「着てみたの?」

正直アキラのセーラー服姿というのは全くピンとこなかった。

「お父さんが着てみろって言うから着たけど直ぐ脱いだよ」

「だって自分でも変だもん・・にあってないよ・・」

「上崎さんとかなら似合うと思うけどね」

上崎さんというのは当時僕が憧れていた凄く可愛い女の子。
アキラはその事を知っていて色々相談に乗ってもらっていた。
でも、無理なのはわかってた、上崎さんはその時好きな人が別に居てそれが近所の年上の中学生のカッコいいお兄ちゃんだって・・。
なんでも中学生で既に芸能活動というかモデルさんをしているらしいと上崎さんが自慢していた。

「アキラも上崎さんみたいに髪とか伸ばせばいいじゃん」

半分はフォローのつもり、もう半分は割と本気だった。
アキラは顔の作りは美形だから女らしくすればもてるんじゃないかと子供ながらに思ったのだ。

「熱いし、邪魔だし、それに似合わないよ」

アキラは乗り気じゃなかった。
んで小学校卒業中学の入学式で初めてアキラのセーラー服姿を見た。
ビックリした普通に似合っていた。
背は高くて足は長いスタイルも悪くない俺の様にぶかぶかの詰襟をいかにも着せられているという格好に比べればアキラのセーラー服はまるでパンフレットやカタログにそのまま仕えそうなくらいバッチリはまっていた。
髪は短かったけれど、恥ずかしそうに頬をそめたアキラは初めて女の子に見えた。

「笑ったらぶん殴る!」って言われてたけど、そんな心配は必要なかった。

「う・・ん・・別に変じゃないとおもうよ?」

「そう?本当?でも絶対変だよ・・岡本は変だって言ってたし・・」

岡本は朝からアキラのセーラー服姿を見るなり散々馬鹿にしていた。

でも俺は知っていたソレは岡本の照れ隠しだってそのあと何人かの男子はアキラのセーラー服姿を見て「アイツ女だったんだな」「ちょっと可愛くなった?」とか冗談半分、アキラなんかにときめいてしまった事への誤魔化し半分で言っていた。

一緒にドロだらけで駆け回り連れションだってした連中は少なからずアキラのセーラー服姿にちょっとしたショックを受けていたと思うでも、それでも僕はまだ上崎さんのセーラー服姿にときめいていた。
実際上崎さんのセーラー服姿は可憐で凄く可愛かった。
僕以外にも彼女が好きだった奴は沢山いたと思う中学生になってから学校の体育は勿論空手の時もアキラは明確に女子のカテゴリーに分けられるようになった。
最初はアキラは凄く不満に思ってて凄く怒っていた。

今までずっと男子と一緒にやってきて一度も負けたことが無いのに急に女子の方へ分けられたから・・・。

「女子とか男子とか関係ないじゃん!」

「うん」

憤慨するアキラに表面上は同意していたけど、でも内心俺は仕方ないと思った。

発育が良かったから小学校6年の時には既にアキラは胸も出てきていたしスレンダーな体型とは言っても彼方此方が女の子らしくなっていたから道場や体育で体が触れるとドキッとする事もあったからそうやって中学では今までなかった壁みたいなものが俺達男子とアキラの間に生まれた。
男子もアキラが女の子だって事をスッカリ思い出していて表立ってアキラが好きだって公言する奴もチラホラ出てきた。
アキラは最初そういう勝手な区分けみたいな物に彼女なりに抵抗していたけれどアキラはそのつもりでも男子に彼女のそういう気持ちを汲み取れる奴はいなかった。

「なんで?」

昼休みバスケをやってる男子の所にアキラが仲間に入ろうとしたときだった。
男子の中心的な奴がヤンワリ、アキラが入ることに難色を示したのだった。

「いや、別にお前の事がどうこうじゃなくてさ・・バスケなら女子を誘って女子でやれよ・・」

「なんで?今まで一緒にやってきたじゃん」


「でもお前やっぱ女だし・・やっぱやり難いよ・・」

それまで黙ってた奴等も、何となく違和感を感じていたんだと思う皆そいつのいう事を黙って聞いて反対する奴はいなかった。
俺もその場に居たけれどやっぱりそんな奴等の一人だった。
意識してしまったが最後・・・。
そんな俺達を見回して小さく溜息をついたアキラは「解った・・」と寂しそうに一言言って女子が楽しそうにお喋りする教室に帰っていった。

そんな事があってアキラも段々と女子の枠の中で学校生活を送るようになっていた。
俺の家に遊びに来ることも減った。
道場であっても組み手もしなくなった。

その頃にはアキラの実力は俺なんかじゃとても練習相手にならないくらいになっていて先生や上級生と練習していたからそれでも近所だから時々は顔を合わせるし登下校が一緒になれば歩きながら色んな事を話した。
夏休みあけからアキラは髪を伸ばし始めて1年生の終わりごろには肩までになっていた。

それを短いポニーテールにしていて、それがその後のアキラのトレードマークになる「伸ばしてるの?」と聞いた俺に「これ以上は邪魔だし伸ばさないけどね・・」とぶっきらぼうにアキラは言った。

髪を伸ばしたアキラはもう遠目からみても女の子で近くでみると美少女と言っても差しさわりが無い姿になっていた。
そしてアキラは大好きな体育も時々見学するようになった。
見学するほかの女子に混ざって走り回る俺達を恨めしそうに見ている姿は少し可哀想に思えた。


ある日の帰り道、「生理が来たんだ」とアキラが自分で教えてくれた。

俺も流石に気がついていたけど「大変だな・・」と答えた。

他に言いようが無かった。

中学二年のときアキラが男子に告白された。
3年生の道場の先輩だった。
強い人で全国とかいっててアキラもよく組み手とかしている先輩だった。
内心俺は2人は出来ているのかもと思った事もあったくらいだった。
でもアキラは断った。

道場の帰り道「なんで断ったの?」と何故か気になった俺は聞いた。

「・・・別にそういう事興味ないし」

その後もアキラは学校のクラスメイトとかにも告白されたけど全員断った。
その度に俺は気になって理由を聞いたけどアキラは決まって「興味ないから」と短く答えた。

2年生になって修学旅行へ行った。
広島で自動車工場を見学して宮島へ渡り旅館に泊まった。
そこでちょっとした二つの事件があった。
一つ目は詳細は省くが悪い男子が着替えをする女子を覗こうとしていて結果的に俺もつい出来心で覗いたらアキラの着替えを思い切り見てしまった。
アキラはカーテンも引かずに窓際で着替えていた。
アキラはいつの間にかスポーツブラじゃなくて本格的なブラジャーをつけていた。

「おおおおっ!」と大興奮する男子に俺は焦ってカーテンを閉めた。

「ヨウちゃん見えないよ!」

「ダメだ!!見るな!!」

不満を訴える男子だったけど俺は結局カーテンを開けさせなかった。
アキラの裸を他のやつに見せたくない・・そんな気持ちが沸きあがっていた。

その後旅館でアキラと顔を合わせにくくて彼方此方逃げ回ってアキラを避けていた。
アキラは何度か俺を探しているようだったけど全力で回避していた。
着替えを見てしまって罰が悪かったし、なにより無性に恥ずかしかったのだ因みに上崎さんは1年の終わりにあの噂のお兄ちゃんと初体験をしたと自慢していたのをアキラつてに聞いてスッカリ冷めていた。

「松田君いる?」

自分達の部屋で皆でババ抜きをしていたらクラスの女子が数人やってきて俺を呼び出した。
女子の中でもリーダー格のメンバーだ。

「告白か?!」

「あんた等は黙ってな!!」

騒ぐ男子に女子達の一括に静まり返る男子。

「松田君ちょっと聞きたい事あるから来て」

「いいけど・・」

内心覗きがばれてつるし上げられるんじゃないかとビクビクしていた。
旅館の非常階段のところへ行くと他の女子も沢山待っていた。

「ななに?」

もう内心穏やかではなかった。

「松田君ってさアキラと仲いいよね?」

「まあ・・家が近所で昔から道場かよってるから・・・」

「松田君ってさアキラの事どう思っているの?」

「どうって・・・」

正直なんでこんな事を聞かれているかも解らないし今一自分でもはっきり整理の出来ていない感情についてイキナリ聞かれたので俺は答える事が出来ない。

「はっきりしないなぁ!」

女子達はイライラしているみたいだった。

「アキラの事好きか嫌いかって聞いてるの!」

「えええっ・・それは・・」

「どっち!?」

異様な迫力だった。

「・・・」

「好き・・かな・・」

別に嫌う理由が無いのだからどっちだと聞かれれば好きと答えるほか無いだろう俺の答えを聞いた女子達はなにやら目配せをしあって笑っている。

「解った、もういいよ戻って」

「???」

訳も分からないまま俺は解放されて部屋に戻った。
男子に色々聞かれたけど「なんでもないよ」と答えた。

就寝時間が近づいてトイレに行くとそこでアキラにばったり会った。

「よう・・」


「おう・・」

なんかお互いが変な空気だった。

「あのさ・・ちょっと話しない?」

トイレを出るとアキラがまだそこに居て俺を待っていた。

「いいけど・・」

さっきと同じ非常階段の所でアキラと2人だけ真っ暗な外を見ながらお互い無言だった。

「あのさ!ヨウちゃんちょっと目をとじてくんない?」

アキラは思い切ったように言った。

「えっ?なんで?」

「いいから!幼馴染の一生のお願い!」

俺を拝むように手を合わせるアキラなんだか必死であまり見ないアキラだった。

「・・・いいけど・・」

俺は言われたとおり目を閉じた。

「良いって言うまであけないでよ」

「うん・・」

その時だったふわっと柔らかい感触が唇に触れた。
ソレがアキラの唇だって事は流石の俺も直ぐに分かった。

「ヨウちゃんごめん!」

アキラは「いいよ」というのも忘れたのかビックリする俺をほっといて走って行ってしまった。

「????」

意味が分からないままその場に取り残された俺は微かに残ったアキラの唇の感触になにか狐にでも化かされたような気持ちになっていた。

それから部屋に戻った後も何時までも寝付けなかった。

翌朝帰りのバスの中どうも女子の視線が俺に集中している気がして仕方が無かった。
アキラは俺のほうを一切見ないし、一体なんだったのか俺は益々混乱した。

修学旅行が終わってもアキラは俺を避け続けていた。
今までなら1週間に1度は登下校のどちらかでばったり会うはずなのに一度も会わなくなった。
道場でも口を聞いてくれない話しかけようとしてもそそくさと何処かへ行ってしまう。

学校では常に女子のグループの中にいて話しかけ難い何処と無く他の女子も俺には冷たいからそれとなく探りも入れられない・・。

「自分からキスしといてなんだよ!」

俺はちょっと頭にきていた。

「そっちがその気なら俺も無視してやる!!」

ガキというかなんと言うか俺も対抗してアキラを無視しようとした。
といってもコレは無視とは言えないなんというか親に怒られた子供が業とらしく親を無視してみせるというような構って欲しい気持ちの裏返しのような行動だったと思う。
学校で顔を合わせたり道場で顔を合わせたりしても俺は不機嫌そうな顔をしてアキラを睨みつけアキラが此方に気がつくと業とらしく目を逸らした。
そうやって俺は怒っている!とアキラに見せたかったのだアキラが謝ってくることを願っていたの。
だいびつだけど俺はアキラと仲直りしたかった。

そんな時チャンスは来た。
年に1度の道場の掃除で俺とアキラはくじ引きで道場の裏の草むしりを2人ですることになった。
俺は最初怒ったようにしながらアキラを無視して草を抜いていた。
アキラはいつも強気で脅したって逆にぶん殴るような奴なのに俺の前ではすっかりビクビクしてて女の子みたいだった。

俺は早く仲直りしたいのに変な意地が邪魔して自分からは絶対に謝りたくないと思っていた。
そのくせアキラが早く謝ってくるのを心の底から願っていた。

「ヨウちゃん・・ざる・・」

草むしり用のザルをアキラが持ってきた。
久しぶりにアキラの声を聞いた気がした・・。

「ヨウちゃん・・ざる・・」

たったコレだけの言葉で俺の心はフワフワ浮いた。
アキラの中で俺はまだヨウちゃんだったから・・・。

「ん・・」

アキラからザルを受けとって引き抜いた草を載せる2人それ以上何を言うべきか分からないままに裏庭の草を抜く音だけがする。

くそっ・・・くそっ!!!
内心アキラと仲直りしたいのにその糸口が見つからず心がぐちゃぐちゃに成りそうだった。
コレを逃したら俺達はもう二度と前の様になれない気がしていた。

「ヨウちゃん・・ごめんね・・」

それはアキラとの関係で今まで聞いた事がない台詞と声色だった。

「えっ・・」

謝ってくるのを待っていたくせにアキラにいざ謝られるとなんだか可笑しな気分になっていた。

「なんであやまるん?」

謝ってくるのを待っていたくせに思わず聞いてしまった。

「だって・・ヨウちゃん怒ってたよね・・」

「・・・」

怒ってた・・でも自分でもなんで怒っていたんだろうか・・。
今となっては分からなくなっていた。

「お前こそ俺のこと無視してただろ」

「うん・・ごめん・・」

こんな風にしおらしいアキラなんか誰も見たことが無いと思った。

「なんで無視したん?」

「・・・」

アキラは俺の問いに少し悩んでから話し始めた。

「嫌われたと思ったから・・」

「はあ?」

なんで俺がアキラを嫌いに成る?意味が分からなかった。

「だって私みたいなのにキスとかされてさ・・ヨウちゃん好きな人居るのにさ・・」

上崎さんのことかと思った。

後のアキラから聞いた話。
あの修学旅行の旅館での事、女子の間で告白ゲームというのが始まって一人ひとり好きな男子の名前をあげるという遊びをやっていたらしい。
アキラは最初がんとして口を割らなかったが周りがドンドン言うので一人だけ言わないわけに行かなくなり俺の事を小さい頃から好きだと白状したらしい。

そしたら女子がイランお節介を始めて俺を呼び出して色々聞いてきた。
女子の話で俺がアキラの事を好きだと教えられたが日頃の俺の態度や俺が上崎さんが好きな事を知っていた。
アキラはその場に上崎さんもいたため女子が本当の事を言っているか確信が持てなかったらしい。

アキラを他所に女子は盛り上がり告白して来いキスして来いと要求がエスカレート。
アキラもアキラで素直なもんだから適当に誤魔化すこともせず非常階段で俺と強引にキスして女子のところへ戻ったわけだった。

「私みたいに男女じゃヨウちゃんも嫌だったでしょ?」

アキラは未だに岡本にからかわれた事を気にしていた。
当の岡本は随分前にアキラに告白して振られているのにも関わらず・・。

「べ・・別に嫌じゃなかったよ・・」

めちゃくちゃ恥ずかしかった。

「えっ・・・」

「別にお前とキスしても嫌じゃなかった!」

「でも・・ヨウちゃん上崎さんが好きだったんじゃないの?」


「もうずっと前に諦めてたし気にしてねーよ!」

「そっか・・」

「そうだよ」

「じゃあ私達仲直り・・・だね?」

「うん・・」

「コレからは前みたいにまた話そうね・・」

「うん」

とこんな感じで俺達は仲直りした。
俺としてはこのとき精一杯の告白のつもりだったけどアキラは単に俺が仲直りしたいだけでアキラの事を異性として好きだといったとは思っていなかったって事に後で気が付く。
アキラ的には嫌じゃないというだけで俺の好みは相変わらず上崎さんみたいなタイプだと思ってたらしい。

それでも俺のことが好きだったアキラはそれでも俺と仲直りできて嬉しかったらしい。
それから前みたいに登下校一緒に帰ったり道場でも話すようになった。
同じ高校へ進学しても組み手は相変わらずアキラの方が強くて勝てなかった。

この頃には回りは俺達が普通に付き合っていると思ってたと思う。
俺は何度か告白しようとして失敗して思い切って告白したのが高校1年のクリスマスだった。
それまでずっと親友みたいな関係だった。
クリスマス俺の家に遊びに来たアキラに俺から告白した。

「えっ?!なに?!」

「だから好きだからちゃんと彼女として俺と付き合って欲しい」

「うそ?!え?」

「嘘じゃないよ」


「俺じゃ嫌か?」

「えっ、そそんなわけ無いじゃん・・でもヨウちゃんは私でいいの?」

「当たり前だろ!」

「えっ・あの・・じゃあ・・えっと・・・はい・・ヨウちゃんの彼女になります・・」

身長俺より2センチも高い上に、喧嘩もスポーツも一度も勝った事が無いそんな強い彼女が俺に出来た瞬間だった。

「でも、なんで俺のこと好きに成ったの?」

改めて俺のほうからキスした後ふと気になって聞いてみた。

「えっ・・ヨウちゃんは何時も私の事そのまま受け入れてくれたでしょ・・」

まあ、確かに俺はアキラのすることに昔から否定的な事を言ったこと無いけど

「そんな事で?」

「そんな事って・・私には大事な事だったよ・・」

なにがきっかけになるか分からないもんだなと思った。

そしてとりあえずこの空手しか知らない不器用な彼女に彼女の魅力について色々と囁いていこうと思ったのだった。


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