「だめ、スイッチ入らない」

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「だめ、スイッチ入らない」



汗だくの顔をこっちに向ける弥恵。眉毛が下がって申し訳無さそうなその表情もかわいい。



残念そうにクーラーのリモコンを棚に置くと、また僕の横にちょこんと座った。



「今からでも、ひろくんの家でやる?」



「え、でも……うーん」



言いながらも夏休みの友をカバンに詰め込む弥恵。たしかに僕の部屋には今年取り付けたばかりの新品のクーラーがある。でも僕の部屋ではだめなんだ。全然だめなんだよ。



「ひろくんの家、むり?」



「でも、あの、その……」



正直に言えばいいのだろうけど、まだ付き合いだしたばかりの僕にはとても恥ずかしくて言えない。



もじもじしていると、その様子を察したのか弥恵がニヤっと笑って顔を近づけてきた。



「あ、もしかして……?」



「はい、その、うん」



「ひろくんの家、親いるの?」

「うん……」



もうだめだ、弥恵には何でもお見通しなんだから、隠し事なんてできやしない。



「当ててみようか?」



「え……」



「親がいるからエッチが出来ない。だから僕の部屋に行くのは嫌だ当たり?」



「……」



弥恵はそういうと、黙ってうつむいている僕の鼻をぺろっと舐めた。わ!顔が近いよ。



体温が高くなる。これは夏のせい?クーラーが壊れているから?

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