これは、現在から何年か前の話。
僕は、高校は電車通学だった。
だが、通勤ラッシュに巻き込まれるのが嫌で、いつも少し早く家を出ていた。
しかし、その日は寝坊したか何かで通勤ラッシュにかちあってしまったのだ。
座席は全て埋まっていたので、僕は乗車口とは逆の扉にもたれ掛かって立っていた。
ぞろぞろと客が乗ってくる。
車内も徐々に混雑してくる。
僕が乗った次の駅で知ってる人が乗り込んで来た。
クラスメートのMさんである。
「あっ!おはよう」
先に声を掛けてくれたのはMさんである。
「おはよう。Mさんいつもこの電車なの?」
「ええ、コウ君は?」
コウ君とは僕の事です。
「僕は今日たまたま寝坊しちゃって、いつもはもっと早いのなんだ」
などと他愛のない話をしていると、次の駅ではまた人がどっと乗り込んできた。
人波の勢いに押されて、Mさんが僕の方に倒れそうになった。
僕はMさんの肩を支えようとしたが、勢いが強くて彼女を抱きしめる形になってしまった。
「大丈夫?」と問い掛けると、「え、ええ・・・、大丈夫よ」と応えるのがやっとのようであった。
その後もぎゅうぎゅうに人が詰め込まれ、身動き一つ困難になった。
(Mさんて案外巨乳なんだな・・・)
むにゅっと、押し付けられるMさんの胸の感触についつい邪な感情を抱いてしまう。
こんな状況におかれても、いやこんな状況だからこそそんな事を考えてしまうのだろう。
さしずめ、美容院で散髪中に鼻頭がむず痒くなるのと同じことだろう。
だが、問題はこっちの方は、否応なく下半身が反応してしまうことだ。
気付いた時には、下半身のテントが設営完了されていた。
(まずいな・・・、バレてないかな)
バレてないはずはない。
なにせ、僕のフル勃起したモノはMさんの両手に密着されていたのだから。
――以下妄想――
「ごめん」て、素直に謝ったら、「しょうがないわね」とか言って、優しく抜いてくれたりしないかなとか、あるいは、「何でこんな所で勃起させてんの?変態なの?」とか詰りながらイカせてくれないかなとか、それとも、「実は、私も濡れてきちゃったの(ハート)」なんつって、挿入させてくれんじゃないの。
――以上妄想終了――
僕は、妄想と現実の狭間でとんでもない行動に出てしまった。
つまり、バレない範囲で自分だけ満足しようと思い至ったのだ。
利用したのは、電車の揺れである。
その揺れに合わせて、僕は腰を前後に動かした。
もうお分かり頂けたと思うが、僕のいきり立ったジュニアをMさんの掌に擦り付けて、疑似手コキをし始めたのだ。
さらに、Mさんの背後に回した両手で、彼女の髪に触れたり、お尻を軽く撫でたりもした。
終点まじかに迫って、僕はラストスパートをかけた。
そして・・・「・・・くぅ!」思わず洩れそうになった声を押し殺して、昇天した。
その後、駅のトイレの個室で後処理を済ませると、いつもより晴れやかな気持ちで学校に登校した。
そして、それ以来Mさんとは一切口を利くことはなかった。